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セラミック矯正のメリット・デメリット

  • 執筆者の写真: 阿部潤
    阿部潤
  • 8月21日
  • 読了時間: 5分

更新日:8月23日


「セラミック矯正」とは、一般的な矯正治療ではなく、クラウンによって歯並びを改善する方法のことを言います。


一般的な矯正治療と比較して、治療期間が短期間で済むことや、煩わしい矯正装置を装着しなくてもよいこと、対象歯が数本の場合には費用も安く済んでしまうなどのメリットから、近年ではセラミック矯正希望ということで受診される方も増えております。


セラミック矯正では前歯2本、あるいは前歯4本、前歯6本などから、奥歯も含む多数本、さらに上下歯セットでの治療、ブリッジを含む場合、時には歯のすき間(いわゆるすきっ歯)を治したいなどという場合においても適用されます。


前歯の歯並びを改善するために、ジルコニアセラミッククラウンで対応した例を紹介します。


セラミック矯正(スピード矯正・クイック矯正)で、前歯の「部分矯正」ということになります。


上の前歯(真ん中)2本が前方にかなり突出していましたが、最終的にいわゆる出っ歯気味で凸凹だったの歯並びが改善されていますので、順を追ってご覧ください。


 正面観
正面観

上の前歯で真ん中2本が歯列からはみ出ており、歯軸も2本各々傾斜・捻転しています。







右側面観
右側面観

2本の前歯のうち、特に右側の1本に関しては、ご覧の通り歯列からかなり飛び出ており、口を閉じた時にも常に上唇を押し上げている状態でした。







 左側面観
左側面観

右側ほどでもないのですが、左側の前歯も 通常よりはやはりかなり前方へ突出した状態でした。






これをセラミック矯正すると、


正面観
正面観

ハの字に開いた状態だった前歯が、ピタッとキュッとしまって、とてもスッキリとした見栄えになりました。







右側面観
右側面観

あれだけ前に突出していた前歯が、とても 自然な感じの歯並びに改善されました。







左側面観
左側面観

左から見ても、歯軸が自然な感じに改善されているのが判ります。








セラミック矯正のデメリット


セラミック矯正を希望され来院される方の中には、本来一般的な歯列矯正(ワイヤー矯正)を第一選択とされるのが妥当であろうと思われる方も多いのですが、そのようなケースにおいて歯並びの程度によっては、歯を削るだけではなく歯の神経を取らなければ対応できない場合もけっこう多いです。


ご参考までに、上述の例で紹介した患者さんにおかれましては、歯を削るだけではなく、最初から神経を取ることは前提で治療を開始しています。もちろん患者さんには事前に十分にご説明させていただき、ご理解・ご承諾を得たの上で治療を進めております。


セラミック矯正を希望される場合には、こういったリスクも踏まえた上で検討される必要があるのです。


歯の神経の構造
歯の神経の構造

歯の中心を通っているピンクの部分が神経です。歯の中心軸に沿って歯の先端近くまで配置しています。







このことを念頭にもう1度上述の例を考察してみましょう。そうすれば、神経を取らざるを得ないという理由が容易にご理解いただけるかと思います。


1

歯列からかなり前へ飛び出していました。







2

それをこれだけ引っ込めて、真っすぐにするわけです。







3

正面から見ても前歯2本は完全に歯列からはみ出し、2本の歯同士も開いてしまっています。






4

それをこのように中に引っ込めて整然と並べるわけです









これだけ飛び出した歯を真っすぐに治すには、通常のクラウン治療と比べれば、歯質削除量も多くなります。


歯の中(中央部分)は歯軸に沿って神経が存在しています。このような角度のきついケースでは、歯を真っすぐな角度になるまで削る過程で必ず神経に干渉してしまいます。ですので、予め神経を取ってからでなければ、この方のご希望に叶うかたちにはなりません。


これはもともとの歯の構造上(神経との関係から)そうせざるをえないと言っていいでしょう。



セラミック矯正の賛否


セラミック矯正は歯を削ったり、時に神経を取ったりということが伴いますが、歯科治療においては(歯科に限らず医科においても)、どんな治療にもメリットとデメリットが必ず存在します。


一般的な矯正治療とセラミック矯正、それぞれのメリット・デメリットの主なものを挙げてみます。


■ 一般的な矯正治療のメリット


・歯を削る必要がない( ※ 多少削る場合あり )

・歴史のある治療法であり、安心感がある。



■ 一般的な矯正治療のデリット


・治療期間がかかる

・治療費が高額である

・歯を抜くケースも多い(計4本等)

・装置を付けるため不快・口内炎が出来易い

・歯磨きがしづらくなり、虫歯ができやすくなる

・保定期間もしばらく装置装着の必要がある

・治療期間中はジルコニアクラウン等治療不可


■ セラミック矯正のメリット


・歯列矯正に比べ短期間で終わる

・歯列矯正に比べ治療費が安い(本数にもよる)

・歯の色や歯の形態(サイズ)の改善可能



■ セラミック矯正のデメリット


・歯を削らなければならない

・神経を取るケースも多い

・治療可能なケースには限界がある


( 総括 )


どちらの治療にも一長一短があるわけですが、セラミック矯正を行っている私の立場から言わせていただくと、セラミック矯正をしようか迷われている方ご自身にとって、歯を削るとか神経を取るといったデメリットよりも、治療後をイメージされた時の満足感・快適感の方が それら(デメリット)よりも上回るようであれば、十分 治療の意思決定をされてもよろしいのではないかと思います。

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