ジルコニアとセラミックの違い(補足)


セラミックには種類があり、広義では「ジルコニア」と「セラミック」は、いずれもセラミックのことを指した言葉ということになります。

 

セラミックの種分けを理解していただくために、ここで一旦、セラミックとは全く違う例を引き合いに出してお話します。

 

例えば、皆さんに身近にあるプラスチック(合成樹脂 )、「プラスチック」と一口に言っても、汎用プラスチック製品としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)などなど、名称も異なれば、その形態・用途とも多種多様です。

 

ちなみに、歯科領域で使用されるプラスチックは一般に「レジン」と呼ばれています。

 

プラスチックが化学組成や調合・製造過程の違いにより名称が異なって複数種類存在するのと 同様に、セラミックもその化学組成や製造過程( 原料調合 ⇒ 成形 ⇒ 乾燥・仮焼 ⇒ 華飾・施釉 ⇒ 熟成 ⇒ 仕上げ加工 )の違いによって、、、

 

「木」で例えると「根幹」の部分はいっしょであっても、特徴の違いにより名称を変えたものが複数種類に「枝分かれ」して存在しているということです。

 

そもそもセラミックとは、一般的には食器などでおなじみの陶磁器全般を指します。非金属・無機素材を熱処理(高温の炉に入れたり)することによって製造されたものです。

 

セラミックは大きく2つに分類され、一つは陶磁器やガラス、セメント、耐火物(レンガ等)のように天然の鉱物を 混合・成形・焼成して完成する伝統的な従来のセラミック製品。

 

もう一つは高純度に精選された天然原料や化学的に合成した人工の原料を混合・成形・焼成して製造される「ファイン セラミック(ニューセラミック)」と呼ばれるものです。ジルコニアはこちらの部類に入ります。

 

「ファインセラミック」の中でも、ジルコニアは最も高い強度と靱性(壊れにくさ・粘り強さ・変形しにくさ)を備えており、また身体にやさしい素材でもあるため、人工関節や頭蓋骨プレート、 歯科インプラントなど、多くの医療分野で使用されています。

 

食器などの陶磁器は誤って床に落としてしまったりすると割れちゃいますよね? かたやジルコニア は「人工ダイヤ」とも表現されるように、強度に秀でているという特徴も有するため、めったに割れたりはしません。

 

歯科でジルコニア登場以前のセラミックは「オールセラミック」という名称で多くの医院ホームページに掲載されています。 

 

これらはセラミックの種類で言えば、アルミナ( 酸化アルミニウム )や二ケイ酸リチウム( ガラスセラミック )が主成分となっている ものです。

 

医院ホームページなどによく掲載されている商品名で言うと「 e-max:イーマックス 」などはこの部類に入ります。

( e-max クラウン )

 

( e-max インレー)

※ 画像でクラウンとインレー各々の隣にある円柱状のかたまりの物は、削り出し前のセラミックのブロックで  e-max の原型 です。